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福島県農業の現状

2015年12月1日
農業生産法人 株式会社二本松農園 代表取締役の齊藤登です。
新米の出荷もピークを終え、稲作農家は今の時期、いちばんホットしている時かもしれません。私もそうで、ちょっと余裕が出ましたので、最近の福島県農業の現状を伝えてみたい、という気持ちから、今パソコンに向かっています。
震災後、全国の多くの方々に支えられてここまできました。なので、私は、逆に、福島県の農業の「ありのまま」の様子を伝える必要があると思っています。
まず、ずばり「風評被害」の状況ですが、一言で言えば、「風評被害はあります。」そればかりか、私に言わせれば、震災直後よりもかえって複雑化し、先が見えない絶望感があります。
福島県農業を巡る風評被害については、震災直後からこれまで「出荷する農産物の放射能を測り、それが検出されなければ、風評被害はなくなる。」と思い活動してきましたが、現実はそう甘くありませんでした。今年のコメについて言えば、11月29日現在で、30kg入りの袋で、965万袋の放射能全袋検査を行い、基準の100ベクレルを超えたものは1袋もありませんでした。なのに、相変わらず、福島県の米は市場に流通しにくい状況が続いています。皆さん首都圏のお米屋さんをのぞいてみてください。福島県産の米はなかなか見つからないのではないでしょうか。二本松農園は、米の他に「露地きゅうり」も多く栽培していますが、市場では、相変わらず、他県産よりも安くなっており、結果的に、差額について損害賠償金が振り込まれています。
放射能を測って出なければ風評被害はなくなる、と信じて、5年近くも取り組んできたのに、状況は好転しない・・・これですと、正面から放射能対策に取り組んできた農業者ほど、絶望感を持ちます。しかし、この現状は、私は4年前からある程度予想していました。風評とは、明確な原因がある訳ではなく、ある種の「マイナスのブランドイメージ」から来るからです。「放射能が出ないことは分かっているが、きゅうりは埼玉産も宮崎産もあるので、なんとなく、そちらに手がいってしまう・・・。」これを私は「なんとなく症候群」と言っていますが、このなんとなく症候群はなかなか解決策がないのです。長い時間がかかるということになります。
また、風評被害は、「売れにくい」というだけでなく、たとえば果樹農家にすれば「長年培ってきた顧客を失った」という面もあります。福島は桃の産地ですが、お中元などの贈答用のお客さまが「福島の桃を知人に贈るのはちょっと気が引ける。」ということで、震災直後、顧客の多くを失い、そのお客様は戻っていないのです。風評被害対策での広報やイベントで、なんとか販売量は確保しているように見えますが、基盤となる新たな固定客を充分確保したとは言えず、従って、経営的には安定していない、という事になります。
農業県である福島県の農産物を大量に売りさばくには、どうしても、大きな流通の力が必要ですが、その大所の流通も、これは卵が先か鶏が先か、の話になりますが、「お客様が福島産をあまり買わないので、仕入れを控える」という傾向があります。しかし、逆に、消費者からすれば「福島産がスーパーなどの店頭に並んでいないので買いようがない。」とも言えるかもしれません。テレビのCMでいくら「福島産のお米は安全でおいしい」とPRしても、
スーパー等の店頭に福島産のお米をおいてなかったら、消費者は買う事ができないのです。
従って、今行っている風評被害対策・・これは、CMを使っての広報やイベントが中心なのですが、実は、まとをえている ものではあまりない、ということになってしまいます。
流通の方に、お願いしたいのです。「福島産を仕入れてください。」でも、これを一農業者からお願いする術はありません。
なので、私たち福島県の農業者は、農家からお客様に直接農産物を送り届ける活動を活発化しています。私は、NPO法人がんばろう福島、農業者等の会を3年前につくり、現在、県内50の農家で、ネットショップやセット野菜などで販売活動をしています。震災後の4年半でネットショップの会員は全国に5000人、セット野菜は330人となりました。今も、ネットショップでのお買い上げメールが頻繁に鳴っています。本当にありがたい事です。
しかし、同情や応援心だけで買っていただこうとは思っていません。そこは、なにより食料品ですから「おいしく・新鮮」でなければダメなのです。私はNPOの仲間農家にいつも「理屈でない、おいしいものを作れ」と言っています。そうすれば、少しずつ少しずつ固定客を増やしていくことができるのです。長い道のりですが、これが、私たち福島県農業者にできる唯一の方法です。なので、私たちNPOの合言葉は「顔の見える関係に風評被害はなし。」
です。
これは、実は、福島県農業者だけの道ではないのかも知れません。これからの時代は「自分の食べるものは、どの農家が作っているのか」「農業者と消費者が直接結びつく」時代は、日本の農業のもうすぐそこに来ているような気がします。

昨日の、福島民報新聞のトップ記事に「(福島県の)農業人口初の10万人割れ~原発事故で離農加速」と載っていました。高齢化に伴う離農は、全国どこにでもある傾向ですが、福島県はそこに原発事故という要因が加わり、離農傾向が加速しているのです。いわば、10年~20年後にタイムスリップしたような感じです。しかし、案外離農する人に悲壮感はあまりありません。「もう年取ったし、ここらが潮時」という感じです。でも、先祖伝来の農地を荒らしたくないので、農業を継続する人に「うちの田んぼ、畑をつくってくれないか・・。」という事になります。これで、二本松農園の耕作する水田は、1年前から50%も増え、6ヘクタールになってしまいました。山間地の水田ゆえ、労力上、これ以上増やすのは限界なのですが、周りの農地を荒らしたくはないですし、老農家にお願いされるとイヤとはなかなか言えないものです。
しかし、明るい面もあります。それは、若い人で「農業をやってみたい」という人が多いということです。特に、都会から地方に移り住んで農業をやりたい、と思っている若者が多いように思います。これらの若者をなんとか、農業現場の継続的・発展的システムに組み込んでいく必要があります。限界集落化した村に、中心となる若手農業生産法人を導入していく必要があると思います。
しかし、いくら希望に燃えて農業を始めても、販路がなければ結局は挫折してしまうことになります。ここは、この際、行政や全農、あるいは大手流通・企業とも協力して、システム的な販路をつくっていく必要があろうかと思います。
また、海外に目を向ける必要もあります。私は、農業者としてはめずらしく「TPP賛成派」
でもあります。日本の安全でおいしい農産物を、外国に売る時代も近づいてきているように思います。世界的に日本食ブームですし、中国などでは、富裕層を中心に安全な農産物を求める傾向が強くなっていると聞きます。特に、福島県産農産物は、現在辛酸をなめていますが、1000万袋近くの米を全部放射能検査している地域なんて世界中どこを探してもないと思います。いつの日か「福島県の農産物は世界中で一番安全でおいしい」と言われ、世界中の人が福島県の、日本の農産物を食していただけるのが夢なのです。
二本松農園では、昨年秋から、農業現場で放射能対策等を見ていただく「スタディファーム」をはじめましたが、この1年間で500人もの来訪者がありました。
震災後、岩手・宮城県の津波被災地を訪れた人は多かったですが、正直「福島県は放射能があるので・・・。」という事で敬遠されていた傾向があったように思いますが、震災5年近くを迎え「福島県の現状を見てみたい。特に農業現場を。」という傾向になってきているようです。現場を見ていただくのが一番いいのです。ご希望の方は、私に連絡ください。農園で、震災後の様々な事をご説明させていただきます。
風評被害は、農業現場だけでなく、観光にも継続して及んでいます。そこで、福島県内の旅館ホテルとのタイアップも進めています。いい温泉もご紹介できますよ(笑)。

当農園を訪問いただいた方のほとんどが口にする事があります。それは「福島を訪れてみると、わりと明るくやっている。逆に元気をもらった!」という事です。
暗いばかりではやっていられません。逆境をバネに、全国、世界中の方々とつながりながら、
生きていきたい!と思っているのです。
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